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私の三冊
   ─ 岩波文庫創刊70年記念号アンケート ─

岩波文庫編集部が、「今までにお読みになった岩波文庫のうち、今日なお心に残る書物は何でしょうか、あるいはぜひとも他の人びとにも勧めたいと思われる書物は何でしょうか。できるかぎり『岩波文庫解説目録』(在庫目録)掲載の書目のうちから3点をえらんでご回答ください。併せてそれぞれに短評をお書きそえねがえれば幸いです。」との問いに答えたもの。




(1) 『みずうみ他四篇』(シュトルム/関泰佑訳)

 活字に飢えていた十代の前半、小遣いで買えたのは、文庫本だけだった。赤帯の一つ星を主に集め、くり返し読んだ。その頃もっとも愛読したシュトルム短編集の中の一冊がこれ。

(2) 『東京に暮す──一九二八〜一九三六』(キャサリン・サンソム/大久保美春訳)

 六〇年前の日本と日本人を、異文化への鋭い感受性と理解力をもった女性の目で活写。大きく変った日常生活、あまり変らぬ国民性など、近過去へのタイム・トラベルが楽しめる。

(3) 『地震・憲兵・火事・巡査』(山崎今朝弥/森長英三郎編)

 奇行と奇文で大日本帝国の権威主義と蛮行を批判した自称米国伯爵の痛快奇文集。書名は、弁護士として真相追及に奔走した関東大震災時の諸虐殺事件への抗議の意を込めたもの。



初出は『図書』第571号(1996年12月、臨時増刊)




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