前略 前便ニテハ御書面ニ不接 別段申述タキ事無在之候 別便ニテ金十弗 御送リ申候間御入手被下度候 小説ハ次便デ御送リ可申候 乍末筆 新年ノ賀正 十二月二十九日 北米桑港 房太郎
日本東京府本郷駒込千駄木林町五十三番地 高野岩三郎宛。なお、葉書にも消印にも年次が入っていない。しかし宛先住所の千駄木林町53番地に高野家が移り住んだのは1890年11月頃であり、翌年暮までには同町180番地に移住している。したがって12月末に千駄木林町53番地へ宛てた書簡は、1890年でしかありえない。