高野房太郎より高野岩三郎宛葉書(1891年1月9日付)
前略 其後者無事御休神被下度候偖旧家モ去二日ニ退去
仕候去ル四日ヨリ学校ニ通学致シ始メ候然ルニ学校通ヒボーイ
ノ口更ニ無之大困却致居候最早一週余ノ無業ニテ旧家
ヨリ受取リ候金ノ内ヨリ十弗ハ貴地ヘ十一弗ハ書籍ニ費シ残
リ六七弗ハ最早今日カ明日ニテ遣ヒ果ス仕義大ニ困却致
候乍併明日明后日トモ学校ノ休ヲ幸ヒ一日宛旧家及他家
ヘ手伝ニ参リ候故夫ニテ二弗位ノ収入ハ有之ベク候御地
ヘノ送金ハ奉公先極リ次第「タコマ」表友人ヘ借入レ依頼致
スベキ覚悟ニ御座候却説学校モ中々六ヶ敷課目ハ
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ニテ何レモ取調ハ生徒ノ家ニテ致ス為メ退校ノ后少ナクトモ
三四時間ヲ費シ候 ○今便ニテ小生ノ友人ノ友人帰朝(松ウラト申ス人)
致サルヽニ付雑誌及小説本御??御送リ申上候間此連
絡ノ上ハ左ノ処ヘ御出張御受取被下度候
京橋区竜山町八番地洋服店
松浦常太郎様
雑誌ノ内ニハ有名ナル「エドウィン・アーノールド」氏ノ日本ノ風俗
ニ関スル記事ヲ載セタル「スクリーブナー・マガジン」有之候
小説本ハ余リ面白クモ無之ベシト存候得共一寸面白味ハ
有之候
右申上度匆々
桑港ニテ
房太郎
一月九日夜
岩三郎 殿 」
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