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高野房太郎より高野岩三郎宛書簡(1891年10月8日付)

  前二日便之間ハ学務ニ取紛レ出状不致甚タ不相済次第不悪御用捨
ヲ乞フ眼病モ全癒致候間御休心被下度候乍去何分昼間学校
及労働ノ為メ夜分宿題等相認メ居ル為常ニ明瞭ナル事ハ不得
候得共兎ニ角医師ノ手丈ハ相離レ候。亡父法事無事相済候由
何ヨリノ事喜悦罷在候母上之満足ノミナラズ小生モ大ニ満
足致候。山林ノ事ニ就而ハ不一方御心配多謝仕候御申送リ
ノ分ハ幾分成小生ノ思考ヲ相助候間御満足被下度候尚御聞入レ
ノ事モ候ハバ御申越奉願候。御地生計及借金ノ事承知致候
追々熟考明年学校卒業後ノ方向相立可申候。愈々
明年大学ヘ御入リ之由大賀々々一日モ早ク御入学ヲ望居候
入学ノ節ノ入費ハ其節如何様トモ相成リ可申候故御休心
相成度候。高尾氏之当時之宿所御申越被下度小生ヨリ直々談
判可致候尚今後仝氏ヨリ如何ナル事申来リ候共一切御返事
無之ヲ宜敷候商売上ノ貸借ハ他フエミリーノ関スル者ニハ無之候
貴弟夏期休業中ノ御動静相伺ヒ欣賀仕候唯々小生
ガ常ニ恐ルヽ所ハ貴弟ノ健康ナレバ充分ニ注意シテ執学
アラン事ヲ望ム
別封之通リ先々月分相送申候間御入手被下度候眼病后
大ニ計画ノ齟〔一字抹消〕ゴヲ来シ遂々一ヶ月分送金相遅レ候事ニ
相成候所ハ実ニ不相済次第乍去来月送金ノ節ハ何分カ
多額相送可申心得ニ候間御勘弁ヲ願上候
学校之方モ好都合ニ運ビ居候
奉公先モ上々之都合是ノ如クニシテ二三ヶ月ヲ経ナバ財政モ
旧ニ復シ可申ト心得候
別紙須藤君ヘ御渡ヲ乞フ
右迄匆々
    十月八日             房太郎

 岩三郎殿

頃日為替取組之際御地番地ヲ誤ツテ百八番地ト
セリ郵便局ヘ御照会被下度候
又能ク考ヘ見レバ駒込千駄木東片町トセリ郵便局ハ
区々締切リ居レリ此書面ヲ証トシテ御地ニテハ取計ヲ願フ
訳ハ学校之帰リニテ貴弟ヨリノ書面ヲ持タ不為ニ此ノ
如ク認メ投入シタル次第ニ御座候



コスモポリタン・ホテル用箋・封筒使用。
日本東京本郷駒込千駄木林町百八十番地 高野岩三郎宛。
10ドルの国際郵便小為替同封。

                             




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