高野房太郎より高野岩三郎宛書簡(1892年2月12日付)
岩三郎殿
二月十二日 房太郎
一月八日出し候御書面は正に入手せり。不相変
労働致し居候間、御休神被下度。
別紙の通り為替相送り申候間御入手被下度
今便は来る十七日桑港出帆の都合に
候得ば去る七日取組し故間違は無之
べしと存候
当地は桑港に比しては幾層の寒さを増
居候間久敷桑港の好気候に馴れ居たりし故
殆んと凌ぎ難き思いを致し候。市中の景色は
桑港に比すれば殆んと田舎仝然に候。然れども
給料は大いに高ければ夫にて宜しきなり
ヂッキンの小説は好便次第相送り可申候
先に御依頼せる天野氏の経済原論如何
に相成候ひし也
不取敢報告迄。匆々
1317 C Street,
Tacoma, Washington, U. S. A.
コスモポリタン・ホテル封筒使用。
表書きはつぎの通り。
「日本東京本郷区駒込千駄木林町百八十番地 高野岩三郎殿」
北米桑港
高野房太郎
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