ここは、二村 一夫(にむら・かずお)個人のホームページです。私がこれまでに書いた論文、講演や研究会での報告記録、エッセイなどを、多くの方に読んでいただきたいと思い、開設しました。掲載するものは、いずれも雑誌や共同著作の本に発表し、まだ本にまとめていないものです。現在市販されている本は除きます。内容的には、論文や研究会報告、それと書評は日本の労使関係、労働組合、労働問題の歴史的特質を追求したもの、それに日本の労働組合運動の創始者である高野房太郎に関するものです。雑文は私が大学院生の頃から40年近く関わってきた大原社会問題研究所とその関係者に関するものが大半です。
さし当たりは、すでにデジタル化してある文章を掲載しますが、出来るだけ早い機会にデジタル化前のものも追加する予定です。ご意見、ご感想、ご批判などをお寄せいただければ、まことに幸いです。 BXH00104@niftyserve.or.jp
論 文
「日韓労使関係の比較史的検討」日本と韓国は、労働組合が企業内組織であるなど、共通点も少なくない。しかし、組織の意思決定のあり方は大きく違う。そうした共通性と相違点の根拠を、欧米の労使関係の歴史を参照しつつ比較検討する。 日本の労働組合は企業別であるだけでなく、ブルーカラーとホワイトカラーが同一組織に属するという、世界ではまれな組織形態をとっている。そうした特徴は、なぜ、どのようにして形成されたのか? さらに戦後労働組合運動におけるホワイトカラーの役割など、現代日本労使関係の特質の生成過程を明らかにする。 日本の労使関係の特質は、なぜ、どのようにして生まれたのか? クラフト・ギルドの伝統の欠如など、工業化前の職人組織のあり方の違いを探り、日本労使関係の歴史的特質の解明を試みる。
研究会報告など
「高野房太郎の生涯」日本の労働組合運動と生協運動の生みの親である高野房太郎の足跡をたどり、謎の多いその生涯を明らかにする。
日本の労働組合はなぜ企業別になったのか? 労働経済学者による通説は、もっぱらこれを労働市場要因によって説明してきたが、その誤りをただす。
研究所の創設者である大原孫三郎とその子総一郎ら周辺の人物、さらには孫三郎を生んだ倉敷という土地柄について語る。
書 評
- 日本労働社会学会年報6『〈企業社会〉の中の女性労働者』
- 日本労働社会学会発行・東信堂発売、1995年9月、A5判、205頁、3000円、ISSN0919-7990
- 栗田健『日本の労働社会』
- 東京大学出版会、1994年4月、A5判、xi+231頁、4000円、ISBN4-13-056044-1
- 尾高煌之助『職人の世界・工場の世界』
- リブロポート、1993年3月、四六判、305+x頁、2900円、ISBN4-8457-0806-X
- 小林英夫『東南アジアの日系企業』
- 日本評論社、1992年5月、A5判、246頁、3200円、ISBN
- R.ビーン『国際労働統計』
- 梓出版社、1990年10月、A5判、334頁、3800円、ISBN4-900071-66-8
- Stephen marsland The Birth of the Japanese Labor Movement
- University of Hawaii Press, Honolulu, 1989, ix+271pp. $27.00.
- 吉田千代『評伝 鈴木文治』
- 日本経済評論社、1988年4月、四六判、xi+332頁、2200円、ISBN4-8188-0232-8
大原社研こぼれ話 目次
- 大原孫三郎が出した金
- 大原孫三郎と河上肇
- 河上肇と大原孫三郎
- 研究員第1号
- 後藤貞治のこと
- 柏木の土蔵
- 荒畑寒村の見た大原社研開所式
- 月島調査と大原社研
- 宇野弘蔵と浅草調査
- 権田保之助のこと
- 権田と櫛田──明治の社会主義青年
そ の 他
掲載予定
- 「労働組合組織率の再検討──実質組織率算出の試み」
- 日本の労働組合組織率は、会社の役員や組合結成を法的に禁止されている自衛隊員まで含む「労働力調査」の〈雇用者数〉を分母として算出されており、他の国で一般的な〈組織可能人員〉を分母とするものと比べると、2%前後は過少であることを論証した論文。
- 「職工義友会と加州日本人靴工同盟会」
- 100年前に結成された日本最初の労働組合・労働組合期成会鉄工組合の源流となった職工義友会をめぐるさまざまな謎を解いた論文。
自己紹介
現 職
法政大学 教授
法政大学大原社会問題研究所 専任研究員
現在の研究関心
日本労働史の国際比較研究
高野房太郎の伝記的研究
- 1934年 長野県松本市に生まれる。
- 1956年 東京大学文学部国史学科卒業
- 1958年 法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了
- 1958年 法政大学法学部助手
- 1960年 東邦大学専任講師、のち助教授
- 1967年 法政大学大原社会問題研究所専任研究員(現在にいたる)
- 1985〜94年 法政大学大原社会問題研究所 所長
- 1994〜96年 社会政策学会 代表幹事
市販されている本
- 『足尾暴動の史的分析──鉱山労働者の社会史』 東京大学出版会、 1988年 詳細目次
- 高野房太郎著『明治日本労働通信──労働組合の誕生』(大島清氏と共編訳)、岩波書店、1997年 内容
- The Ashio Riot of 1907; A Social History of Mining in Japan, Duke University Press 近刊
- "Post-Second World War labour relations in Japan", Jim Hagan & Andrew Wells (ed)Industrial Relations in Australia and Japan, Allen and Unwin, 1994
- "The trade union response to migrant workers", Glenn D. Hook & Michael Weiner(ed)The Internationalization of Japan, Routledge, 1992
- "The Ashio Riot of 1907 - The Traditional Miners' Brotherhood, the Trade Union, the Hanba System and the Company" Kraus Tenfelde(Hrsg.)Sozialgeschichte des Bergbaus im 19. und 20. Jahrhundert Verlag C.H.Beck, 1992
- "Japan", Marcel van der Linden & Jurgen Rojahn(ed)The Formation of Labour Movements 1870-1914; An International Perspective Vol II, E.J.Brill, 1990